ある物乞いが通行人の袖を引っ張ってお金を恵んで欲しいと言った。その通行人は物乞いの目を見て言った「あなたに最初にお金を与えた人がいたから、あなたは今でもそんな惨めな生活を送っている。」
このモラルストーリーは、金銭を与えることが人の怠惰、堕落を生み出すことを示しており、貧困が誠実や勤勉さの源になることを教えています。お金をもらった物乞いは、そのお金で飯を食い、服を買い、余ったお金でギャンブルをするでしょう。そしてまた、物乞いに戻る、というお話です。
他の言い方をすると、「魚を釣れなくて困っている人に、魚を与えるな。釣り方を教えろ。」という話があります。この話では、釣り方を知ること、その人の能力を開発することが重要なのであり、魚を与えることは物乞いにお金を与えるのと等しく、その人にとってひとときの幸福しかもたらしません。長い目で見ると、その後の人生は変わらないので、むしろ悪化します。
現に、「仕事を下さい」という物乞いをほとんど見ないのはそのためです。
仕事を下さいと言う人は、自分を磨く努力をしているのです。
貧困生活から抜け出すために努力しているのです。
「お金を下さい」と言う人は負の連鎖に陥っているのです。
アメリカの鉄鋼王として知られるアンドリュー・カーネギー氏は富の使い方のうち、最もしてはいけないことは、子息に財産を譲ることであると断言しています。
富豪の家に育ち、苦労してお金を稼ぐことを知らない者は自分の能力を開発する機会を失ってしまいます。
親の事業を継承して成功する例は、例外中の例外。それだけ経営とは才能と努力ができる一握りの人間にしかできないのです。
カーネギー氏は「富の福音」と言う本で、寄付についてこのように書いています。
”生存しているうちにに寄付をする人間は死してなお尊敬されるが、死後に寄付をする人は、お金をうまく使うことができず仕方なく寄付をしただけである。”
生きているうちにその才能で富を築いたものは、死ぬ前に富を社会に返す責任があると思います。
私たちが生きて、今の生活を送っていられるのは、社会という環境があってこそのものであり、自分の富を社会に返すのは自然の流れです。社会に還元したお金で教育や福祉を充実させ、次の世代の人たちの可能性を磨くために使われるべきだと思うのです。
子供が財産を手にした場合、多くの人は働かず、自分を磨く努力をせず、自分の人生を台無しにしてしますでしょう。
子供が自分らしい人生を楽しんでもらうために、親がすべきことは人生と財産の行方や運用方法を教えることだと思います。
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