駆け出しシナリオライター:専門知識はどこまで詳しく書いたらいいのだろう?伝えるのが難しいな。
こんな疑問にお答えします。
結論から言うと、読者の知りたい情報を書くだけです。
例えば、あなたが医療ドラマや医療漫画の原作を書く場面を想像してみてください。想定している読者は誰ですか?一般人や医療関係者、研究者など様々なパターンが考えられます。一般人を読者に想定した場合、症状や原因、お金はいくらかかるのか、どんな生活になるのかなど、実生活に根ざした内容を知りたいのではないでしょうか。
医療関係者にも納得してもらえるように作るのであれば、さらに加筆してより詳しく伝えれば良いですが、そうすると肝心の物語が冗長になりやすいです。
私自身は医療の世界で10年以上勤務し、学会発表や一般の方への公演を通して、医学的知識を伝える相手は誰か?によって、話を変える必要があると痛感してきました。
今日は医療をテーマに、専門知識をどこまで伝えるかについて考えていきます。
この記事を読んでわかること
- 自分の書きたいことを書くな
- 路線図に学ぶ専門知識の伝え方
- 読み手の知りたいことを書く
自分の書きたいことを書くな
例えば、医療をテーマにした場合は、医学的知識をどこまで正確に伝えるか、難しいところですよね。人の健康をテーマにする以上、間違った知識を伝えるのは危険です。ところが、自分が専門家の場合、特に陥りやすいのが「ここは重要だな」と、ついつい自分目線で書いてしまうことです。自分の専門分野はスラスラ書きやすいので、こういったことが起こりがちです。
ですが、実のところ、医学的な正しさというのは統計学的なものや、学会のコンセンサス(大衆の同意)によって成り立っており、専門家同士でも意見が異なるものなのです。
そのため、より正確に書こうと、詳しく書けば書くほど、議論の余地がある問題へと突っ込んでしまうのです。まさに、あっちを立てればこっちが立たず、といった状態になり、結局何が正解かすらわからなくなります。
では、どうすればいいのでしょうか?
路線図に学ぶ専門知識の伝え方
よく使われる方法の一つに、「鉄道の路線図」を参考にする方法があります。例えば大阪の環状線は、円の中に駅が一つ一つ等間隔で並んでいます。
目的地に行くためには、どこでおりてどの線に乗り換えれば良いか、簡単にわかるように設計されています。
これをもし、「いや、実際の距離や方角はこうじゃない、間違ってるよ」と専門家が言い出し、その通りに地図を作成するとどうなるでしょうか?おそらく、複雑な路線図が出来上がり、専門家は満足しますが、一般の人は混乱しますよね?
なぜこうなるのでしょうか?
読み手の知りたいことを書く
それは、見る人の知りたい情報を書いていないからです。路線図を見て知りたいことは、「目的地に行くためには、どの駅で降りれば良いか?」ですよね。そのために、目的地はこの駅の次で降りればいいとか、どの駅で乗り換えればいいか、という情報が知りたいはずです。
地図的な正しさよりも、見る人の知りたいことを路線図に描かなければなりません。
もちろん、地図として正確な情報が知りたい場合は、読み手が個人的に情報を調べれば良いわけです。
つまり、医学的知識を広めるのも同じことで、専門家が正しさを求めて2型糖尿病にはインスリン抵抗性とインスリン分泌低下のタイプがあってその他にも・・・、などと詳細を書いても、興味を示すのは医療関係者くらいでしょう。読む人は誰か?その人が知りたいのはどんな情報か?を考えて書くことが大切です。
一般の方が病気について知りたいことは、概ね次のような項目です。
- どんな症状になるのか?
- 原因はなんだったのか?
- 治るのか?
- どんな治療になるのか?
- お金はいくらかかるのか?
- どんなことに気をつけて生活していけばよいのか?
- 遺伝するのか?
- 人に移るのか?
- 学校は休んだ方がいいのか?
まとめ
以上のことから、重要なポイントについてまとめます。- 自分が書きたいことを書かない、書くことは読み手の頭の中にある
- 鉄道の路線図のように、読み手の知りたいポイントを書く
- 詳しい情報は、読み手が自分でアクセスする
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